小さな店舗を経営している親からの依頼です。長年店で使っている掃除機で、買い替えても良いのだが購入当時は高かったし愛着があるので直せるものなら直したいとのこと。
パッと見怪しいのが電源ケーブル。本体から出ている電源コードは50cmほどしかなく、付属の延長コードと組み合わせて使うという初めて見た形式なのですが、どちらのケーブルもプラグ付近の保護被覆が破れて危ない状態です。
こちらは本体からノズルに電源を供給するためのケーブル。特殊なプラグ形状ですが、こちらの被覆も破れていて断線しそうです。
延長コードの方はとりあえず通電しているので動かない原因は本体にあります。スイッチは2つしかありません。HIとLOWの切替スイッチとその横にある大きなスイッチ。この大きなスイッチが電源ボタンで、押すたびにオン／オフが切り替わるとのこと。
とにかく開けてみないことには始まりません。「そうそう、昔はこうだったよね」と思いながら蓋を開けます。
形状から水フィルター掃除機かと思っていたら巨大なダストパックにビックリ。
下側には何の電気部品もないので上側を分解します。出てきたのはモーターのみ、何の基盤類もありません。スイッチとコード、モーターだけです。
モーターのコイルの取り出し位置によってHI／LOWを切り替えているようです。
これがオン／オフを切り替えているスイッチ。オルタネイト型スイッチということですね。これが怪しいと思っていたのですが、予想に反して正常でした。
テスターで調べると電源は来ている。ということはモーターが原因？
ブラシをチェックするも十分な残量があります。
壊れるようなものは何もないな～と困っていたところ、何となくモーターを手でちょっとだけ回してみたところ轟音とともにモーターが回り出しました。ブラシから盛大に火花が出ています。
ならばできることは一つです。モーターの清掃と注油を行いました。結果、復旧したようです。
それにしても何という単純な造りでしょうか。単純で大きく重く頑丈にできていて時代を感じさせます。数十年前に30万円ほどで購入したそうです。別途キャスター付きの台座があり、それに本体を乗せるのだそうです。
メーカーを調べてみたのですがよくわかりません。シリアルの書かれたラベルには「WATERMATIC CORPORATION」と書かれていますが、ググってみてもそれらしき会社を見つけることが出来ませんでした。
日本の代理店でしょうか、「エヌケー」の表記がありました。こちらもググってみましたが不発に終わりました。
本体にも大きく「PRODUCED FOR NK INCORPARATED」の文字が。INCORPARATEDは米国法人の意味があるようです。ということは米国の会社？NKが企画してWATERMATICが製造したということ？
商売をしているとその関係からさまざまな売り込みがあります。私の目からするとその中には「アヤシイ」商品もあり、これはそのうちの一つなのかもしれません。しかしながら（購入価格が妥当なのかは別として）数十年間故障なく動いていて機能（吸引力）的にも大きな不満が無いということなので商品自体は良いもののような気もします。
先に示した今にも断線しそうな電源コード（プラグ）ですが、結局グルーガンで補強することにしました。分解できるプラグでは無いので当初は市販のプラグに交換しようと思っていました。しかし出所不明の何だかわからない掃除機に愛着が出てきてしまい、プラグもオリジナルのまま残したいと思うようになりました。ちなみにプラグには「CANADA」の刻印がありました。
こちらは排気口でフィルターが入っています。本体にはデカデカと「WITH FILTER MAGIC」と書かれていて、このフィルター部に「FILTER MAGIC」と書かれていますので、このフィルターがキモなのでしょうか？でもこのフィルター、単なるスポンジが入っているだけです。3種類のスポンジが組み合わされているので工夫している感はありますが。
「フィルターマジック」でググっても「ミッキーのフィルハーマジック」ばかりヒットしますが、「filter magic vacuum cleaner」でググったら初めて同じものがほんの少しですがヒットしました。
何の変哲もないヘッドが時代と感じさせます。
イプには電源が引かれていて、何らかのアタッチメントが用意されていることをうかがわせます。
掃除機といえばシャープのコードレス掃除機・フリードが気になります。バッテリーが取り外しできることが特徴で、それが面倒と見るか便利と見るかで評価が分かれます。掃除機の保管場所がコンセントの場所に依存しないのがメリットですし、（バッテリーが2個付属してきますので）1個が充電中でももう1個で掃除ができるのも魅力です。
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