2016年1月24日

ファコム ラチェットハンドル 分解清掃


Facomのラチェットハンドルが故障したので分解してみました。


しばらく使わずに工具箱の底で眠っていたのですが、久しぶりに使おうかと取り出してみました。すると回転がものすごく重く、さらにロックのかかる方向にも回るようになっていました。


頭の部分のトルクスねじを外して分解してみるとグリスが劣化してベタベタのガム状になっていました。


パーツクリーナーで洗浄しました。ハート形のスプリングは少しでも変形すると動作に異常が出るということなのであえて外しませんでした。


シリコングリスを塗布して組み込みます。ちょっとグリスを塗りすぎたと思ったので、この写真とさらに下の写真の状態から拭き取っています。
今回は元々の状態に組み込みましたが、ギアの歯が摩耗している場合には裏表逆にすることで寿命を延ばすことができるようです。


ここがポイントです。左のカバーにある突起をハート形のスプリングの頂点(写真で言うと下方向)に引っ掛けるようにかぶせます。引っかかったかどうかは目で確認できないので感触が頼りですが、この写真の位置関係だと上から下方向にスライドさせるようにかぶせるとうまくいきます。
固定ネジを締めた後でどちらの方向にもロックされなかったら失敗です。


固定ネジを締めると正常に動作するようになりました。チチチという細かい動きは気持ちの良いものです。「こっちに切り替えるとスプリングがこう引っ張られるから小さなコマがこっちに動いて…」と頭の中でシミュレーションしてみるのですが、機構の動作原理がわかりませんでした。

固定ネジを締めつけると切り替えレバー(実際には「レバー」では無いのですがなんと言ったらよいのでしょうか?)の切り替えができなくなってしまうので適当な強さに締め付けなくてはなりません。逆に言うと締め付け具合で切り替えレバーの重さを調節できるということです。注意点としては固定ネジを完全に締め付けられないということなので後でどうしても緩んできます。メーカー出荷時には固定ネジに緩み止め材が塗ってあります。私は後で重さを調整できるようにあえて塗らなかったのですが、通常は塗った方が良いでしょう。

ラチェットハンドルには頭の形状の違いで丸形と小判型に分けられます。大きさ的には丸形が有利ですが厚みは小判型が有利です。一番の違いは歯の数です。丸形は通常72で、小判型は通常36です。角度にして5度と10度で、この差が作業性に影響する場合があり、私がこのFacomを購入した理由でもあります。

3/8sq(9.5mm)のラチェットハンドルは小判型を既に持っていたのですが「もうちょっと歯が細かければ便利なのに」と思う場面が度々あったため丸形(Facom)を購入しました。しかし実際には「丸形の方が作業効率が高い」ことはあっても「丸形でなければ作業できない」場面に遭遇することはありませんでした。そのためソケットとのセット品である小判型を使用するのがほとんどでFacomは工具箱の底へ…となったわけです。

一般的にはラチェットは高トルクはかけられず本締めはできないと言われています。しかし私のような素人が手を出す部分ではそれほどの高トルクは必要としません。本締めが不可能なら(ラチェット式の)プリセット型トルクレンチの存在は何なの? という疑問も沸きます。一般的には小判型の方が丸形より高トルクがかけられると言われています。歯の数を考えれば納得のいくところですが、Facomは「小判型ではできない本締めにも使用可能」と言われていますし、実態はよくわかりません。確実に言えるのはラチェットである以上過信は禁物ということだけでしょう。

丸形はハンドル本体に溝が刻まれているので、そこがすり減ったら本体寿命ということになります。小判型は内部の歯車と爪の交換で済むのがメリットと言われています。しかし私のような素人にはその使用頻度から摩耗は関係ない(間違った使用法による破損は考えられますが)でしょうし、そもそも交換部品の入手方法もわかりません。

個人的には丸形の方向切り替えは面倒に感じますし、一目で方向がわからないのも好きではありません。今回整備はしてみたもののやはり使用機会は少ないでしょう。



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