トヨタ・アクアに取り付けました。正確には「踏み間違い加速抑制システム」。トヨタが名付けると「踏み間違い加速抑制システム」、ダイハツが名付けると「つくつく防止」。ダイハツのメンタリティというか企業風土、嫌いじゃないです。
父親は高齢者なのですが、車の運転にはだいぶ自信を無くしている様子。トヨタ・アクアに乗っているのですが古い車なのでプリクラッシュセーフティのような安全装備は付いていません。トヨタ(とダイハツ)から後付け踏み間違い加速抑制システムが発売されたということで、装着を勧めました。
理想的には最新の安全装備を備えた自動車に買い替えるのがベストなのですが、父親に言わせると後何年運転できるのかわからないのに新車に乗り換えるのは…とのことです。一度は「軽自動車なら(経済的に可能かも)」と思ってディーラーに行ってみたようなのですが心がトキメかなかったようです。人一倍車好きだった父親を見てきていますので、その気持ちは尊重したいのです。
話が脱線しますが、その父親は先日、免許の更新をしました。高齢者講習があるのですが、今話題になっている通り、絶望的に予約が取れないのです。手続きの煩雑さから「もう更新はやめようか(=自動車の運転はやめようか)」と弱音を吐くくらいだったのですが、無事に講習を受けてきたら「自信が出てきた」と言っていました。「免許の講習なんて金儲けか天下りが目的でしょ」なんて曲がった見方をしていた私ですが、それを聞いて少し考えを改めました。
さて、去年12月初旬に発表された直後にディーラーへ行ったのですが、担当営業に話をしてもずっと無視されて、やっと先日作業完了となりました。販売成績に繋がらない金のない年寄りなど相手にしている暇はないということなのでしょうが、良い話ばかり聞こえてくる(私自身はトヨタと付き合いが無いので伝聞のみ)トヨタディーラーらしからぬ対応に驚きました。
発表時は本体価格が55,080円、取り付け費用は不明とのことでしたが、ダイハツの価格(こちらは取り付け費用も明らかにされていて、価格34,560円+工賃24,948円=5,9508円)を参考にすると10万弱と予想しました。後に見たパンフレットにはたしか84,800円とあったような気がします。結局、(なぜか)割引されて80,000円でした。
作業時間は数時間とのことですので車を預けるのかと思ったら、道路上で試運転をしたいということで、ディーラーが自宅へ取りに来て自宅へ返しに来てくれました。
出来上がったと聞いて見てきました。フロントバンパーにセンサー2個。
リアバンパーにもセンサー2個。後述するレスポンスの記事には上下方向の取り付け角度が非常にシビアとのこと。バンパーをぶつけると大変です。
センサーは黒色。方式は超音波のようです。パーキング・コーナーセンサーのようにボディ色に合わせて欲しいところですが、まだ出て間もないため致し方ないところか。いずれボディ同色になるでしょう。
車内には運転席側ダッシュボード上に後付け感いっぱいのコントローラー。上に見えるのは停止ボタンです。人が操作できるのはこの停止ボタンのみ。理由は後述しますが停止ボタンは頻繁に使うと思います。
車両前にバイクを置いてみました。センサーが反応して表示(右側のオレンジ色)し、同時にピピピと断続音がします。
センサーが反応している時にアクセルを踏み込むと「アクセルを戻してください」と表示され、ピーーーという連続音がします。車両はクリープ速度で進みます。そのままアクセルを踏み続けると5秒後に解除される(加速する)そうなのですが、条件が整わずそこまで試せませんでした。
他にはバック(後退時)に(障害物の有無にかかわらず)時速5km以上出ないようになります。
ブレーキ制御機能はありませんので、いずれにせよ障害物にぶつかります。でもクリープ速度ですので大きなダメージは無いでしょう。例えばコンビニの駐車場でブレーキとアクセルを踏み間違えても車止めで止まり、店舗に飛び込むことは無いと思います。
センサーの認知距離は3mとのことです。残念ながら人は検知しませんでした。
運転すると結構気に障ります。例えば信号待ちの時に前の車に3m以内に近づくとセンサーが反応します。交差点で車が途切れるのを待っている時、車が行き交うたびにセンサーが反応します。いちいちうるさいので停止させたくなるのです。
ちなみにセンサーを停止したままエンジン(ハイブリッドなので正確な表現では無いですが)を停止させると、次回、エンジンをかけたときにはONに戻っています。
昔、オートバックスから「 ペダルの見張り番 」という後付けの踏み間違い防止装置が発売されましたが、ほとんど話題になりませんでした。
今回の製品も壁しか検知しませんしブレーキとの連動機能はありません。安全装備としては中途半端、厳しく言えば「 気休め程度」かもしれません。自動車メーカーからの発売という安心感・信頼感はありますが、これに9万円弱を出す人はまれかもしれません。
実際、「後付け踏み間違い加速抑制システム」でネット検索しても見つかるのは発表時のニュース記事ばかりで、実際に装着・体験してみたという人のレビューはほとんどありません。車情報サイトの記事でも見つけられたのはレスポンスの記事だけ。
「後付け」で踏み間違い防止、トヨタの加速抑制システムを試してみた【岩貞るみこの人道車医】
効果のほどはともかく、急速に進んだ安全技術の恩恵を既存ユーザーにも広げてくれたことにはとにかく感謝!これこそがトヨタのトップメーカーとしての企業努力・企業姿勢です。手放しで拍手を送りたいです。(ここで「でも最近のトヨタはデザインがね…」と言いたくなりましたがヤボなんでやめます)
これがもっと話題になってくれれば開発も進んでブレーキが制御できたり、人を検知できたり、さらにはカングーにも装着できたり…と夢が膨らみますが、現実的には無理かな。
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