2016年10月11日

エコハウスのウソ 増補改訂版


刺激的なタイトルですが内容はいたってまじめです。


エコハウスのウソ 増補改訂版  Kindle版


Amazon Kindle本の半額セール一覧を見ていたら面白そうな本を見つけました。今すぐにどうこうする予定はありませんが以前から家を建てることには興味がありますので購入してみました。

名前からすると「買ってはいけない」系のトンデモ本のように思われます。しかし読んでみるとなるほどと思わせるものばかりでした。一番気に入ったのは「○○はダメ」で思考停止するのではなく、「ではどうすればよいのか」というところまでしっかり言及していることです。

内容をかいつまんで紹介すると以下のようになります。

・H25省エネ基準は緩すぎ
・夏よりも冬を重視
・熱伝導は伝導/対流/放射
・断熱だけでは駄目、気密が重要
・吹き抜けはやっかい
・大開口はリスク有り
・太陽光発電には限界がある

その他にもアルミサッシの成功が裏目に出て窓の断熱が遅れていることや、エアコンは必ずしも悪者では無いので積極的に活用しようとか興味深い記述が多いです。


具体的な素材や施工方法、機器の選定などには言及していませんので、家を設計する際の具体的なアドバイスでは無く、もっと前段階でのコンセプトを決める際に役に立つ本です。


省エネとはどういうものなのか、科学的データを使いつつも素人にもわかりやすい記述がされているところに共感が持てます。「エコ」を語るとどうしても情緒的になりがちですが、この本は比較的ドライに扱っています。


暖房方法による生活環境への違いも興味深いです。


二次エネルギー(家庭)だけでなく一次エネルギー(発電)にまで言及しているのも上っ面で省エネを語っていない感じがします。本の記述にもありましたが人間にとっては省エネよりも省コストの方が大事ですから。


採光は北側が有利というのもなるほどと思いました。

 
個人的に物足りない部分が無いわけではありません。それは換気と結露についてです。断熱・気密を高めて省エネというのは基本的には賛成ですが換気と結露が心配です。具体的な方法論になってしまうので、この本の範疇からは外れてしまうかもしれませんが、このあたりをもう少し突っ込んで聞きたかったです。



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