前回、手首が細い人用の金属ブレスの工夫についての記事を書きましたが、今回は続編として革ベルトの場合について書きます。
美錠(ベルトを通して固定する輪っかのことです)がついている革ベルトの場合、よっぽどベルトの長さが長くない限り手首が細くてもあまり問題にはならないでしょう。
最も短くしても緩い場合には穴を追加してあけることができます。皮ポンチを使えば簡単に空けられます。革ベルトに穴を空けるのはためらわれるでしょうが、革ベルトは基本的に消耗品ですので意を決して空けましょう。その方が絶対に満足できると思います。
あまった剣先(革ベルトの6時側のとがった方)が多少邪魔ですが、ほとんどの場合は遊革(剣先を親(革ベルトの12時側の美錠がついている方)に沿わせる輪っか)がありますから大丈夫です。剣先がケースにまで達することはほとんど無いでしょう。
最近の時計は美錠ではなくデュプロインバックルが付属されているものも多いようです。
デュプロインバックルには高級感が出るというメリットもありますが、ベルトの痛みが少ないというメリットもあります。美錠タイプはベルトの美錠にかかる一部分にだけ曲げの力がかかりますので、この部分が傷んできます。デュプロインバックルですと曲げ方向の力がかからないので痛みが少なくなります。
デュプロインバックルを付けた革ベルトは金属ベルトと同じように使い、使用感も似てきます。ということは手首が細い人にとっては金属ベルトと同じ問題が出てくるのです。
美錠は小さいので邪魔になることはありませんがデュプロインバックルは大きいので邪魔になってくるのです。
一例です。この写真はIWCなのですがデュプロインバックル仕様でした。高級感のあるバックルなのでぜひ使用したいのですが…
バックルを閉じるとこうなります…
一目瞭然ですよね。付け心地は最悪です。もともとこの時計はベルト長が普通より長いのですが、加えてデュプロインバックルが大きいのでこうなってしまうのです。大きいバックルは付け外しがしやすいというメリットもあるのですが。
こうなるとベルトを交換するかバックルを交換するかしか手はありません。親切にもIWCは革ベルトの長さを数種類用意しているのですが、ちょっとお高いです。
そこで私は「バタフライバックル」というものを使用しています。これはデュプロインバックルの一種で、通常と同じ3つ折れなのですが、蝶のように両側に開くタイプになります。
バタフライタイプは通常の片開きタイプのようにバックルが片側に寄ってしまうことが無くなるため付け心地が良いのです。
こちらが先ほどと同じ時計(ベルトも同じ)にバタフライバックルを付けた写真です。先ほどの写真とは付け心地が違うのは容易に想像できると思います。
革ベルトの場合は金属ブレスとは違い、通常の配置(親が12時位置、剣先が6時位置)で文字盤が手前に向いてきますので、配置の入替は必要ありません。
私は革ベルトの時計はほとんどバタフライバックルに付け替えています。純正やヒルシュ、カミーユフォルネなどの有名メーカー品はとても手が出ないのでノーブランド品です。
ノーブランド品は2,000円ほどから買え、色はシルバー・ゴールド・ガンメタが選べますし、ツヤの有無も選べます。また、留める方法もカシメ式だけでなくプッシュボタン式も選べますので好みの仕様にできます。
美錠の幅を測って同じ幅のバックルを選択することだけは気を付けてください。後、もし極端に厚みのあるベルトの場合にはそれ用のバックルが用意されています。
デュプロインバックルは付け心地もそうですがベルトが傷まないので好きです。以前は同じ時計ばかり使用していたり、夏場も革ベルトを使用していたりしたせいもありましたが、ベルトは消耗品でした。現在はデュプロインバックルを使用していますし、毎週違う時計にしたり夏場は金属ブレスにしたりするせいで、革ベルトの交換の必要性を感じていません。
ただしアンティークなデザインの時計には美錠の方が雰囲気に合うのでそのままにしています。
余談になるかもしれませんが、靴は同じものを連続して履かない方が長持ちしますよね。例えば毎日使用すると1年でダメになる靴があったとして、それを2足用意して一日置きに使用したとすると3年は持ちます。時計の革ベルトも同じで、連続して使用しなければ飛躍的に寿命が延びる気がします。かえって全く使用しない方が劣化するのではないかと思うレベルです。
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