2014年12月11日

ロイヤルオリエント WE0011JA


オリエントの高級ライン、ロイヤルオリエントは1959年に誕生していますが、その後消滅しました。私が時計に興味を持った時期はオリエント・ロイヤルが最上位のブランドでした。ロイヤルオリエント復活の第一弾がこのモデルです。


2005/05
(2007/08オーバーホール)
自動巻き
30石
10気圧防水




このモデルはデザインだけの復刻ではなく、オリエントが自社開発した新ムーブメント「Cal.88700」を搭載していています。
シースルーバックになっていますのでムーブの様子を見ることができます。

ムーブはコート・ド・ジュネーブ、ペルラージュ仕上げされており非常に美しく仕上がっています。コート・ド・ジュネーブ模様は磨いてあるというより彫ってあるのではないかと思われるほど深く刻まれています。とにかく気合が入っている印象です。

文字盤の色はパール塗装っぽい感じです。白蝶貝ほど派手さはないですが落ち着いて高級な感じです。パール塗装は一歩間違えると安っぽくなってしまうので難しい塗装ですが上手に仕上げてあります。
文字盤の中央はギューシェ模様っぽいのですが、ずっと細かく刻まれています。レーザー加工?エッチング?ホログラムのように角度によって表情が変わります。
ブランド・ロゴマークは無く、「ROYAL ORIENT」と表記されているだけです。おそらく社内の議論がまとまらなかったのではないかと想像できます。
文字盤には分目盛りがさらに5分割される目盛りが刻まれています。個人的にはこれはちょっとうるさいかな、と思います。しかもムーブは8振動ですので秒針の動きとも合っていないですし。

ケースは薄く緻密な感じです。竜頭にはロゴマーク等が刻まれていません。おそらくここまで手が回らなかったものと思われます。
ケース径は約38mmです。今風に40mmにしなくて良かったです。

ブレスも秀逸です。非常に精巧なつくりでエッジも立っています。精密すぎて購入当初は腕の産毛が挟まって痛かったほどです。当時は「オヤジくさい」と評判はイマイチでしたが私は気に入っています。
バックルには「ROYAL ORIENT」とレーザー加工がれていますが、ここも手が回らなかった印象です。

このモデルはほどなくしてマイナーチェンジされたのですが、先に指摘した「文字盤のロゴマーク」「竜頭のロゴマーク」「バックルのロゴマーク」が全て改良されていましたのでやはり未完成だったのでしょう。ロゴマークは「O」と「R」が組み合わされたものになりました。

私はこのマイナーチェンジ版が発表されてからあえて初代モデルを購入しました。ロゴマークは無い方が好みでしたし、スポーティーですがオーソドックスな新ブレスよりオリジナリティのある旧ブレスの方が好みでした。

新モデルが出た時点で旧モデルが(ギリギリでしたが)売り切れていなかったことからもわかるように爆発的な売れ行きではありませんでした。(旧モデルは100本限定)
時計好きから見ると本気具合が伝わってくる素晴らしい出来なのはわかりますし、この値付けはバーゲンプライスであるのは明白(事実、その後価格は跳ね上がりました)なのですが、心のどこかで「オリエント」と「高級時計」を結び付けることが出来なかったのではないかと思います。
「ブランド」は一朝一夕には出来上がらないということでしょう。

2年後のオーバーホールが無償サービスとして付いてきました。この時に手巻き時に竜頭が空回りする件を伝え、一時的には治ったのですがその後再発しました。
新開発ムーブなのでまだまだ未完成の部分があるのではないかと思います。それは仕方のないことなので今後も改良し続けていただきたいです。
オリエントの企業規模で自社ムーブを作り改良し続けていくのは難しいとは思いますが、継続こそがブランドを作るのだと思います。

私は個々の時計には好き嫌いはあるのですが、メーカー・ブランドに対しては基本的に好き嫌いはありません。そんな中でもオリエントは好きなメーカーですし、応援したいと思っています。




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