2014年11月10日

カングー ATF交換


私のカングーはATです。個人的にはMTの方が好みでしたが、他の人が運転することも考えてATにしました。
カングーのATは「DP0」の名前が付いています。PSAグループ(プジョー・シトロエン)との共同開発された4速ATで、そちらでは「AL4」と呼ばれています。


近年のフランス車の4ATはほとんどこれといっていいでしょう。90年代後半、プジョーで言うと306あたりから採用され、歴史も長く数多く生産されたATです。それにも拘わらずすこぶる評判が悪いのです。

日本車のATとは真逆のフィーリングに賛否(賛<否)あります。

・加速時になかなかシフトアップしない
・減速時にシフトダウンしエンジンブレーキがかかる
・シフトショックが大きい
・トルコンスリップが少ない

以前、ZFの4ATに乗っていましたので個人的には違和感はないです。ダイレクト感があり好ましいとさえ思います。
おもしろいのが加速していくと2速途中(2700rpm程度)からロックアップが働いて回転数が落ちますので5ATのような動きをするところです。
しかし問題は国産ATと違うフィーリングにあるのではなく、信頼性が低いことです。
よくある症状としては3速ホールドになってしまうことです。
ソレノイドバルブの交換で直るケースもありますが、直らなかったら莫大な出費が待っています。

故障の原因として挙げられるのが油温の上昇です。
・油温上昇→ATF劣化→AT故障
となるケースです。

日本の気候・交通環境が劣悪なのは疑いようのない事実ですが、ちまたではフランス車のATに乗るのは日本人だけだから不具合が解消されないのだとも言われています。
気候・交通環境はいかんともしがたく、AT自体の冷却向上も事実上不可能(冷却フィンを増やしたり油量を多くする改造が国外ではあるようですが)ですので、一般ユーザーとして出来ることとしてはATFの種類あるいは交換頻度を変えることくらいです。
ちなみにディーラーではATFは交換不要ということになっているらしいです。

さて、前置きが長くなってしまいましたが、このATFを交換します。
前車のZFでは普通のDⅢを自分で交換していましたので、今回もDIYが基本です。
メーカー指定のオイルを頻繁に替えてもいいのですが、個人ではそのメーカー指定のオイルを入手することが難しいです。また、いくら新しいオイルでも一度でも高温にしてしまうとダメだという話も聞きますので高温で劣化が少ない社外品を探します。

ネットで検索すると、次の2種類が引っかかります。どちらも評判がよく、何より導入実績がありますのでどちらかにします。(あとごく一部ですが「WAKO'S」もありました)

・ニューテックZZ-51改
・A.S.H FS / VFS

評判は5分5分といったところでしょうか。
値段は VFS < ZZ-51 < FS です。
後は直感でASHに決め、その中で値段でVFSに決定しました。(1,900円/リットル)


ATFの総容量は6リットルのようで、1回で抜ける容量は3リットル程度のようです。
全量交換を目指しますので、総容量の数倍の量が必要ですが、この段階では自分で交換できるかどうかさえ怪しいのでとりあえず5リットル入手しました。

やってみてわかりましたが、カングーのATF交換は簡単です。ポイントとしては油量を正確にすることと、ゴミの侵入に気を付けることくらいです。
油量については抜いた分をそのまま注入すればいいです。本当はチェック方法に決まり(後述)があるのですが、エンジンオイルと違い(正常であれば)減ることは無いので。
ゴミについてはウエスの細かい繊維1本でもダメだと言われています。個人的にはそのまま鵜呑みにできないような気もしますが、ゴミが無いに越したことは無いのは間違いないのでできる限りの最善を尽くします。
ドレンプラグを外すスクエアのソケットは通販で手に入ると思います。

用意した機材

・対油ホース(10Φ 1m)
・じょうご
・計量カップ(1000ml×2)
・オイル受け
・ソケットレンチ
・ドレンプラグ・ソケット(スクエア8mm)


後はほこりの舞わない環境(無風)が準備できたらいよいよスタートです。

①まずはオイル注入口にアプローチできる空間を確保します。エアクリーナーを外す要領でインテーク部分(写真のダクト)を外します。すると上からドレンプラグと同じスクエアのプラグが見えると思います。これが注入口です、まだ外しません。


②車の下に潜ってATのドレンプラグを外し、オイルを排出します。ジャッキアップの必要はありません。この状態では1リットルも排出されないと思います。


③ドレンにヘキサゴン(すみませんサイズは失念しましたとりあえず工具を突っ込んでサイズを探ってください。)を突っ込んで左まわしで回します。結構回すと思いますが、プラスチックの部品が外せると思います。この時にどんどんオイルが出てきますが後で量を測るのでウエスで拭き取ったりこぼしたりしないでください。

④オイルが出きったらプラスチックの部品とドレンプラグを戻します。プラスチックの部品は締めすぎると壊れて取り返しがききません。そもそもきつく締める必要はありませんのでほどほどにしてください。

⑤排出したオイル量を計量カップで計測し、同じ量の新油を準備します。

⑥①で確認した注入口のボルトを外します。何本も似たようなボルトが見えますが、スクエアなのは1本だけなので間違えることは無いと思います。

⑦後は新油を入れるだけなのですが、注入口まで距離があるのでホースとじょうごを組み合わせて上手に入れてください。こぼしたら排出からやり直しなので気を付けて。また、ゴミが入らないように細心の注意をしてください。

⑧新油注入が完了したら注入口を塞ぎ、エアインテークを戻して完了です。

一応、本来の油量の確認方法を記しておきます。
60度の油温を確認する部分が一般人には難しいだけなんですけどね。

①ATFを交換する際に大目に注入する。
②エンジンをかけ走行し、1~4速全て使用する。R・Nレンジも30秒程度は使用する。※
③ATF温度が60度になったことを確認する。
④Pレンジにする。
⑤ドレンプラグを外してオイル排出(エンジンはかけたまま。プラスチックの部品は外さない。)
⑥オイルが出てこなくなったらドレンプラグを締めて完了。

※2015/06/01訂正(②が抜けていた)

通常走行時は約60度になるそうなので、一度この方法を試したのですが、計算していた通りの分量が抜けました。新車のオイル量が多すぎることも考えられたためトライしてみたのですが、そんなことは無かったようです。「通常走行時は約60度になる」のも正しいのではないかと思いました。

走行16,000km時点で初めて交換したのですが、排出オイルに透明感が全くありませんでした。オイルの状態は目で見たり触ったりしただけでは判断できないとも言われますが、精神衛生上、交換して良かったと思います。
一度だけですが、猛暑日に急な上り坂を連続して走行した時にエンジンのフケが悪くなったことがありました。この時のATFが上がりすぎ、劣化したのではないかと心配していましたので、気分的に楽になりました。

最初の交換で3.2リットル交換しましたが、おそらく半分も交換できていません。ATF交換後エンジンを始動して30秒たったらすぐにエンジンを止めて排出すればほぼ古いオイルだけを排出できるということを聞いたことがあります。やってみたい誘惑に駆られましたが、どんなATにも当てはまるのかわからないのでやめました。

自信が付いたので追加でATFを1ケース(12本)買い、続けて交換しました。

1,000km走行後 3.55リットル
(さらに)9,000km走行後 2.47リットル
(さらに)11,000km走行後 2.47リットル

最後の交換時は新油に近い色でしたし、計算上もほぼ入れ替わったと言えますので、これからはインターバルを開けて交換しようと思います。(残りのATFで計算上後2回交換できる。)
毎回交換する量が違うのは、前2回はエンジンをかけた直後に排出、後2回は一晩放置した状態から排出したからです。エンジンオイルのように「放置したらオイルパンに戻る」のような単純なものでは無いようです。

オイル代だけで32,300円かかっていますので効果がなければ高い買い物ですが、やってよかったと思っています。ATの故障は「運」であるとも言われますしATF交換していれば防げるものでもありませんが、後悔しないようにできる限りのことはしていきたいです。



7 件のコメント:

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  2. どうも初めまして! GWに中古カングーを購入し初期化メニューを検索していたところavantさんのブログに辿り着きました!大変参考になる情報が満載で感激しております。

    今朝、早速ATF交換にチャレンジしました。放射温度計で60度確認をしようかと迷ったのですが、初めてのチャレンジですので一晩放置の冷間状態での交換にしました。(ATF排出量は2.65Lでした)

    ATFが冷間状態で熱膨張していないのと、ATFレベルチェックプラグ(HEX 8mm)が付いている事から、ドレンプラグを外してもATFはほとんど出ないのでは?と勝手な予想をしていたのですが、avantさんのブログ通りそこそこのATFが出て来ました。avantさんもブルグに書かれてましたが、何となく新車時のATF量が多すぎるように感じてしまうのですが、エンジン始動し、ATFが循環すればオイルパンに残るATF量が冷間時と異なるという理解で宜しいのですよね?(^^;

    何はともあれ無事交換完了できほっとしております。貴重な情報有り難うございました。

    p.s
    僕のカングーもサボテングリーンです♪

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  3. コメントありがとうございます。まず、記事に一部訂正があります。本来の油量の確認方法の部分でPレンジにする前に全てのレンジを使用する手順が抜けていました。これが何を意味するかというと、「停止中、経路のオイルはある程度どこかに抜ける」ということです。抜ける先は普通に考えればオイルパンでしょうし、ポンプ内のオイルはオイルパンに戻るでしょう。ところが経験上、一旦エンジンをかけた直後(オイルパンに戻りきっていないと予想される)は一晩放置した状態より多く抜けるのです。というわけで謎は謎のままなのですが、分かっている点もあります。「ATFの熱膨張係数は大きい」ということです。昔のATにはレベルゲージがあってHOTとCOLDでレベルが分かれていました。ですから「抜けた量だけ入れる」方式はそれぞれの油温が同じでなくてはいけません。一晩放置の冷間(=気温)状態での交換が正解ということですね。

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  4. トヨタのATFオイルD-Ⅳがイイですよ 

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    1. 情報ありがとうございます。「D-Ⅳ」でググっても出てこなかったのですが「T-Ⅳ」でしょうか?これなら安くて良いですね。情報収集してみます。

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    2. 私は、これです 安いから何度も洗浄できます 日本のアイシン精機なので安心です 少し多めに入れた方が良い感じですね ドレン抜きでは、150ccぐらい少ないかもです 14万キロでバリバリ元気です 追伸 最初のATF交換は12万キロで交換しました 現在急な下り坂に入ると シフトタイミングが3500以上になるのでなんでだろう?ぐらいです 通常の走行では異常がでません もう少しオイルを入れると良いのか?実験中です

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    3. T-Ⅳです D間違いです 

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